近年、放射性炭素年代測定法(14C年代法)や年輪年代測定法などの自然科学的手法による測定結果が年代決定に取り入れられるようになりました。1996年、大阪府和泉市池上曽根遺跡出土の大型建物の柱材(ヒノキ)を年輪年代測定法を用いて分析したところ、4本の柱から、紀元前115+α、紀元前93+α、紀元前52年と紀元前56+α年に伐採されたとの結果がでました。紀元前52年の柱材が出土した柱穴からは弥生時代中期後半の土器が出土しています。年輪年代測定の結果を当てはめると、弥生時代の中期後半が紀元前50年頃となり、これまで考えられていた年代より、一気に80年から100年遡る年代となり、北部九州地方の土器との比較研究から検討されてきた近畿地方の弥生時代の年代に、大きな波紋を投げかけることになりました。ここから、弥生時代の終りも約50年~100年遡るという説がでています。 また、放射性炭素年代測定法(14C年代法)で弥生時代の初期の遺物を分析した結果、弥生時代の始まりが約500年遡る可能性も指摘されています。 これらの測定結果については先述した中国鏡や貨泉をはじめとする金属製品などの年代観との比較・検討からの再度の検証が必要であり、今後の研究の進展がまたれます。